2007年03月14日

外歯瘻(がいしろう)

外歯瘻(がいしろう)01
 非常に怖い症例です。
20年弱前の古いアルバムを整理していたら外歯瘻の写真が出てきました。
歯根嚢胞が大きくなって膿を排出する際は通常、口の中の歯茎の根本から出てくるのですがごくまれに下顎の6歳臼歯(6番)の歯根嚢胞が10代で急速に拡大した場合、皮膚から排膿することがあります。

もちろんそうなった歯は即時に抜歯となりますがその陥没した傷跡はなかなか治りにくく、形成外科で移植手術をしても完全に元通りとはならないのです。
たかが虫歯といえども審美的に取り返しのつかなくなった典型的な例と言えるでしょう。
※写真は治癒後、5年ほど経ったものです。
外歯瘻02
※大きな吹き出物と間違えやすい別の症例で外歯瘻になる直前のものです。
抜歯後治癒良好(17歳)

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2006年10月30日

舌ピアス

舌ピアス
 個人の趣味でしょうが日常の診療で奇妙な物に出くわすこともあります。

最初見たときはどきっとしましたが解剖学的にも舌の中心には動脈は存在せず、中心を避けた両脇に流れていることを考えると出血はさほど問題ないのかもしれません。

もちろん感染を考えると決してお勧めできるわけではありませんが小児の咬傷でも舌の中心を咬んでもそんなに心配することではないのと同じといえるのでしょう。

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2006年10月25日

中切埋伏歯の抜歯

正中埋伏氏の抜歯01 

 主訴は単純なインレーの脱離で来院したのですがパノラマレントゲンに横たわっている埋伏歯がはっきりと映ってありました。
今までも歯科治療をたびたび行っていたにもかかわらず歯科医師から何も説明されずに過ごしていたため放置していたと言うことです。

40代の男性の方で歯根も曲がっていて開窓後歯科矯正で引っ張り出しても利用できそうもなかったので抜歯し、ブリッジとする予定にしました。


正中埋伏氏の抜歯02

正中埋伏氏の抜歯03

正中埋伏氏の抜歯04

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2006年08月05日

ヘミセクション(歯根分割抜歯)

ヘミセクション01
 大臼歯の歯根のう胞がどうしても治癒しない状況でも2本のうち1本が健全であれば分割して小臼歯とみなし、ブリッジの支台歯として利用できる場合があります。

適用される率はあまりないのが残念ですが大臼歯1本丸ごと抜歯しなくてもすむため有効な治療でブリッジタイプやほとんどもとの形に戻せることもあります。

ただし、清掃性が悪いため自己メンテナンスをしっかりしないと結局すべて抜歯することとなってしまいますので注意が必要です。

この手法は分岐部までカリエスが進んだときにも適用される場合もあり、丁度2本の小臼歯と同じ形態となります。

ヘミセクション02

ヘミセクション03

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2006年06月27日

外傷性歯冠破折

外傷性歯冠破折01
 学生さんが酔っぱらって自転車で歩道の段差でこけ、顔面を強打し左の前歯の歯冠部が3分の2ほど折れてしまった症例です。
 残念ながら歯髄が露出していましたので抜随して根管充填後、コアを装着してレジン前装冠で補綴しました。

外傷性歯冠破折02
外傷性歯冠破折03

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2006年03月14日

蓄膿症

蓄膿症
蓄膿症(上顎洞炎)は歯由来の症状と間違えやすい症例です。


右上の腫れと痛みで本日初診でいらした患者さんは右上の4,5番が虫歯もなく治療痕もないのに上下に激しく動揺していました。
また、パノラマレントゲンにおいても上顎洞のラインが消失していて4番の歯根部分がはっきりしません。
蓄膿症の手術歴を聞いたところ20年前に左右側とも行ったそうです。

今回は長年慢性でおとなしくしていたものが急性化して症状として表れたもので歯科由来と間違えても仕方がないといえます。

処置は電気メスで腫脹部をわずかに切って排膿させましたが歯根のう胞や歯周病由来のものとは全く違い焦げ茶色で量もコップ一杯はあるのではないかと思われるほど大量でした。

腐敗臭はさほど感じられなかったのですが抗生物質を投与後まずは耳鼻咽喉科への受診をお勧めいたしました。

<追記>
若干の不安を感じ、多摩病院歯科口腔外科の石井宏昭助教授にお聞きしたところ、排膿はコレステリン血漿を含んでいることによる色で上顎洞癌とは違うとの助言が得られました。

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2006年02月08日

歯牙再植術

歯牙再植術01
 お盆や師走となると駆け込みでの症例が多いものです。(2005.12.26)
 昨年末にお子様の看病で徹夜したため疲労困憊し、朝方失神して気がついたら下唇を貫いて右上の中切歯が頭の上にあったという緊急を要する症例です。



歯牙再植術02
このような場合は軽く水洗いした後浸透圧の等しい牛乳などに浸してすぐに歯科医院に駆け込んでください。 歯牙再植術03
今回は幸いきれいに抜け落ちていたので生理食塩水で洗浄して本来の位置に再植後、矯正線と即時レジンで固定しました。
歯牙再植術04
上皮縫合翌日(2006.12.27)
歯牙再植術05
 皮膚の方はさほど大きく損傷していなかったので1糸だけの縫合ですみましたが口唇内部はざっくりと切れていたので3糸ほど縫合しました。(200612.27)

歯牙再植術06
 10日後の抜糸前です。(2006.01.05)
歯牙再植術07
その後抜随、根管充填後レジン修復し40日後で皮膚表面もほとんど傷口が目立たなくなりました。
(左側は以前に失活済み)(2006.02.06)

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2006年01月21日

上唇小帯切除術

切除の必要な上唇小帯
 テレビでご存知のタモリ氏のようにいわゆる「隙っ歯」(正中離開)の中で審美歯科では絶対に切らなければいけない上唇小帯を持っている方がいらっしゃいます。

大概は子供の頃に転んで唇を打ち、自然と切れてしまうのですがそのまま温存している場合は前歯の歯並びが開いて審美的ではなくなってしまうことがあります。

本日来院した方の場合は歯列矯正の相談が主訴でしたが歯列矯正の前に上唇小帯の切除が必要となります。

それをしないことには前歯の間に強固な繊維質の筋がまたがっているため矯正を行う上で大きな障害となるのです。

もしも小児の頃にそのことに気がついて切除していたら現在は前歯が開いていなかったと推測されますが20代では切ったことによっての閉鎖は期待できません。

しかしながら放置することによってさらなる歯間離開が予想されますので早急に切除すべきでしょう。



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2006年01月17日

智歯の口腔底迷入

滅多にあることではありませんが下顎の智歯の舌側の骨は非常に薄い場合や無い場合があり、力の加減をしてもヘーベルの圧力で口腔底に迷入することがあります。

私も4〜5例経験していますが先日の土曜日の場合もまさにそれでした。
ぐっとヘーベルを入れたと同時に歯が視界から消えます。
タラッと冷や汗が出ます。

口腔底を触診すると咽頭方向に出っ張りがあり迷入していることが分かります。
わずかに抜歯窩からのぞけたのでつついてみるものの鋭匙や鋭匙ピンセットでもどうにも遠くて届きません。
かといって骨を大きく削ると術後の腫脹が激しいため容易にはできないということもあります。

結局のところ口腔底を電気メスで空けた後抜歯窩から探針でそのまま舌側方向へ押し出して口腔外に取り出し縫合しました。
以前も5番方向まで指で移動させ切開後取り出したことがありますが術後の腫脹は思いの外軽度です。

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2005年12月24日

抜歯後の骨鋭縁

抜歯後の骨鋭縁
親知らずは二度生える?というご質問を受けました。

Q:一ヶ月ほど前に親知らずを抜きました。ぽっかりあいていた穴もだいぶふさがってきて安心していたのですが、その穴のすぐ横の頬側の歯茎に硬く尖ったものをを触れました。口腔内用の小さな鏡でも確認してみたのですが、白っぽい何かが歯茎を押している感じで、親知らずが生え出そうとしていたときと様子が似ています。再び何かが生えてくるのかと気になって仕方がありません。いったいこれは何なのでしょうか?放っておいても大丈夫でしょうか?

A:そんなに多くはないのですが親知らずに限らず下顎の歯を抜いた後の治癒課程においてみられるものです。

治癒課程においてまず先に歯肉の方が凹から凸に形を変えていきます。ところが抜いた後の骨の方は遅れて凸になります。
すなわち今は骨の方がちょうど火山孔のような形で歯肉が凸になりつつあるのに骨の鋭縁が尖っているため歯肉を突き破って出てきます。

この場合痛くなければ口腔内を清潔に保ちそのまま放置してもかまいません。
しかし、骨が内側から歯肉を刺激して痛みを伴う場合は残念ながらもう一度麻酔した上で尖った骨を削るのがよいでしょう。

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2005年10月13日

自家移植

自家移植01 自家移植02
利用可能な親知らずがあり適応が合致した場合には大臼歯を抜かなくてはならない状況でも自家移植という方法があります。

このケースは親知らずの前方の治癒不可能な7番の抜歯をしたと同時に下顎の横になった親知らずを抜歯し、親知らずを7番の位置に自家移植した例です。
(上の親知らずを下顎の大臼歯に移植することもよくあります。)

自分の歯を自分に埋め込んでも成功率が低く、5年から10年の間で抜歯に転機するケースが多いようですがなんだかんだいっても自分の歯で噛めるのですから適応の場合は出来るだけ行うようにしています。
(保険の範囲内です)

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2005年09月06日

難萌出歯(開窓術)

nanhou01.jpg nanhou02.jpg
滅多にないことなのですが矯正歯科治療では出てこない犬歯などを開窓術という方法で口腔内に出し、ブラケットをつけて本来の位置まで移動させることがあります。

矯正歯科からの依頼もありレントゲンで診断した結果この方は20歳で将来自然に萌出することは出来ないと診断しました。
まず麻酔下で粘膜を一層取り、歯牙を覆っている歯槽骨を骨ノミで慎重にかつ丁寧に取り除きます。
その下には綺麗な放出してない犬歯があるので5ミリ四方ほど口腔外に露出させます。
これで矯正装置のブラケットを取り付けることができ、ゴムなどで引っ張ることにより本来の位置に移動させることができるようになります。
ただし、保険点数が高く今回は初診料込みで1万円近くなってしまいました。(手術だけで2,820点)

後日、最初の犬歯と思った歯牙は実は過剰歯と判明し再手術を行いました。

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2005年06月09日

咬傷による口内炎

kousyou01.jpg kousyou02.jpg
この方は食事中に舌を咬んでしまい下の側面に咬傷による口内炎を起こした例です。

この時はケナログを塗っても痛みで食事が摂れないという愁訴で来院なさいました。

そこで、複合ビタミン剤とバランスのとれた食事を摂ることを指導し、ネオグリセロールを塗布し、口腔内環境の向上のため上の親知らずの抜歯と脱離クラウンの治療を薦めました。

後日、塗ってから数時間で治ったとのことでヨード系の塗り薬が合うことがわかり、民間療法ですが今後はイソジンの原液を綿棒で塗ることを指導しました。

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2004年11月30日

歯を抜いたのにだんだん痛くなってくる(抜歯後治癒不全)

歯を抜いたにもかかわらず当日は痛くないのに3日後くらいから夜も眠れないくらいの痛みが出ることがあります。

これは「抜歯後治癒不全(ドライソケット)」というものでほとんどは下顎(下の)大臼歯でたまにみられます。
経験的に総抜歯数のおおよそ5パーセント前後で親不知の抜歯に多く、季節的には猛暑の夏が多いように思われます。
原因は不明となっていますがしっかりとした歯にもかかわらず簡単に抜けてしまい克つあまり出血を伴わない場合が多いと思われます。
このような症例に当院では抗生物質と鎮痛剤を調合したパスタ(軟膏)を抜歯した穴に挿入して痛みと感染予防を防ぎます。
薬臭いもののこのことによって大概の場合は2〜3日で症状は改善されます。
ただし先日の患者さんのように1週間以上もたって何の処置も施されず腐敗臭を伴っている場合は問題となります。
腐敗臭を伴うということは細菌感染があるということですからこれは骨髄炎(骨が腐る)に移行する危険性があるのです。
その場合は安静にして充分な抗生物質の投薬とパスタの挿入が必要となります。
万が一発熱を伴うようであれば切開して排膿の必要性があり緊急性(入院の上抗生剤の点滴)を要しますのでお気を付け下さい。

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2004年10月19日

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

症例です。
歯性上顎洞炎とは歯の病気が原因となるいわゆる蓄膿症です。

「歯が原因で蓄膿症になるって?」と驚かれるのは無理はないと思います。
通常の蓄膿症の原因は鼻の炎症などから移行するのがふつうだと思われます。
頻度は少ないのですが、根尖性歯周炎、つまり過度の虫歯からも蓄膿症になるのです。
先日の20代の患者さんは上顎の7番(上あごの一番奥の歯)が動揺、挺出していたのでかみ合わせを低くし、6番(その手前の歯)の根尖相当部を切開して排膿させました。
その翌週にレントゲン上であまりにも病巣が大きいので(ウズラ卵大)結局抜歯することとなりました。
抜歯してみると驚くほどの膿がどんどん流れ出てきます。
目の下、歯の上の空洞に(上顎洞)膿があふれていました。
このままでは大きな穴が空きっぱなしになってしまい食べかすが入ってとんでもないことになるので抗生物質とガードプレートというプラスチック製のふたをして耳鼻咽喉科への受診を勧めました。
それでも経験上1ヶ月は穴がふさがらないことと思われます。
長年にわたって腫れたり退いたりを繰り返している根っこだけの歯を持っている方はご注意下さい。

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